銀行融資を引き出す決算書の見せ方|金融機関はここを見ている『ポイントと事前準備』

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「決算書は税理士に任せているから大丈夫」

そう思っていたのに、いざ銀行に融資を申し込んでみたら、想定より低い評価しかもらえなかった。

『融資を断られた』

『金利が想定より高い』

『経営者保証が必須』

『返済期間が長くできない』

そんなご経験はありませんか。

実は融資審査では、決算書に書かれている「数字そのもの」だけでなく、
その数字が金融機関にどう伝わるかによって、結果が大きく変わることがあります。

このコラムでは、金融機関が決算書のどこを見ているのか、そしてどう見せれば評価が上がるのかを、具体例を交えて解説します。

なぜ「決算書の見せ方」で融資結果が変わるのか

同じ実態でも評価が変わる理由

融資審査というと、多くの経営者は「利益が出ていれば通る」と考えがちです。

しかし実際には、同じ実態の会社であっても、決算書の見せ方次第で評価が数段階変わることがあります。

たとえば赤字であっても、その理由がきちんと説明されていれば「一時的な要因」として評価されることがあります。

逆に黒字であっても、勘定科目の中身に不透明な部分が多いと、評価が下がってしまうこともあるのです。

税理士に任せきりになっていませんか

多くの中小企業経営者は、決算書の作成を税理士に任せきりにしています。

もちろん税務・会計処理という点では正しい判断です。

ただし、決算書を「金融機関にどう見せるか」という視点は、税理士が積極的に踏み込んでくれない領域であることも少なくありません。

融資を受けやすい会社になるためには、経営者自身が金融機関の視点を持つことが欠かせません。

金融機関が決算書のどこを見ているか【定量面】

収益性・安全性のチェックポイント

金融機関は決算書を単年だけでなく、3期分の推移で見ています。

売上高・営業利益・経常利益が右肩上がりかどうか、あるいは一時的な落ち込みかどうかを確認しているのです。

あわせて確認されるのが〔自己資本比率〕や〔流動比率〕といった安全性の指標です。

〔自己資本比率〕=〔純資産〕÷〔総資産〕で計算され、この比率が高いほど「借金に頼らない経営体質」と評価されます。

債務超過(純資産がマイナスの状態)に陥っていないかどうかも、重要な判断材料になります。

返済能力を示す「債務償還年数」

特に金融機関が重視しているのが〔債務償還年数〕です。

これは「今の利益水準で、借入金を何年で返せるか」を示す指標です。

借入金合計:5,000万円
営業利益:800万円
減価償却費:200万円

〔債務償還年数〕=〔借入金〕÷(〔営業利益〕+〔減価償却費〕)
5,000万円 /(800万円+200万円)= 5年

一般的に10年以内であれば良好、20年を超えると要注意とされることが多い指標です。

営業利益や減価償却費を増やすことができれば、この年数は短くなり評価も上がります。

黒字倒産と不健全な勘定科目にも注意

決算書が黒字であっても、実際の資金繰りが厳しい「黒字倒産型」の会社は、金融機関から警戒されます。

損益計算書上の利益と、実際のキャッシュフローが一致していないケースがあるためです。

また、〔役員貸付金〕〔仮払金〕といった使途があいまいな勘定科目が多いと、それだけで減点対象になってしまいます。

これらの科目は「経営者が会社のお金を私的に使っているのでは」という疑念を招きやすいため、できる限り整理しておくことをおすすめします。

在庫の適正性

在庫は資金を眠らせた状態になるため、月商と比較して過大と判断されると資金管理がずさんであると判断されかねません。

また売上が伸びていて運転資金を追加の融資で手当したい場合には在庫が更に積み上がる場合も想定されます。

特に在庫の多い企業では売上の見込みと連動して在庫がどのように推移する見込かもきちんと説明できるデータが必要です。

支払条件と債権・債務の残高

売上の入金前の状態である『売掛金』、仕入れの支払前の状態である『買掛金』や『未払金』がどの程度かも重要な要素です。

月商と比較して過大な売掛金は顧客と交わした契約条件が不利であったり、未入金を放置しているかも知れないと見られるかも知れません。

売掛金の管理をきちんとして平均月商とのバランスが悪い過大な売掛金がある場合には、

『期末月に大口案件の売上があったため』

といった納得の得やすい説明ができるぐらいに情報を精査しておく必要があります。

逆にずっと放置されている未払の債務残高などないかも点検しておくと良いでしょう。

自社の財務状態を把握しておく

以前のコラム

でご紹介しましたが、決算書だけでWeb上に入力するだけで簡単に自社の財務分析レポートが入手できます。

こういった便利なツールを活用しながら、自社の財務状況を把握しておくことはとても大切です。

数字だけでは伝わらない「定性面」の評価ポイント

経営者の説明力が問われる

金融機関は決算書の数字だけでなく、経営者自身の「説明力」も評価しています。

減益や赤字になった場合、その理由を経営者自身の言葉で説明できるかどうかが、大きな分かれ目になります。

「なんとなく厳しかった」ではなく、「原材料費が前年比で15%上昇したため」など、具体的な要因を語れることが信頼につながります。

資金使途と返済計画のストーリー

融資を申し込む際は、「何に使い」「どう返していくのか」という一貫したストーリーが求められます。

このストーリーに矛盾や曖昧さがあると、金融機関は不安を感じてしまいます。

あわせて、試算表や資金繰り表など、決算書以外の”最新情報”を提示できるかどうかも評価に影響します。

決算書の「見せ方」実践テクニック

説明資料を添える

決算書だけを提出するのではなく、1〜2枚の説明資料(サマリー)を添えることをおすすめします。

前期比較や業界平均との比較を数字で示すことで、自社の「良さ」を客観的にアピールできます。

金融機関の担当者は多くの会社の決算書を見ているため、要点がまとまった資料があるだけで印象は大きく変わります。

一時的な要因は切り分けて説明する

設備投資や特別損失など、一時的な要因で利益が下がった場合は、その旨を補足資料で切り分けて説明しましょう。

決算書の数字だけを見ると「業績悪化」と誤解されかねませんが、要因を切り分けて示すことで、正しい評価につながります。

また、役員報酬や交際費など、経営者の私的性格が疑われやすい科目についても、必要に応じて内訳や使途を説明できるようにしておくと安心です。

月次試算表で”生きた数字”を見せる

決算から半年以上経っている場合、決算書だけでは会社の「今」が伝わりません。

月次試算表を定期的に金融機関へ提出している会社は、それだけで「経営を数字で管理している」という信頼を得やすくなります。

日頃からの情報開示の姿勢が、いざという時の融資評価にも良い影響を与えるのです。

融資評価を下げるNG行動

決算書の提出が遅い・情報が古いままである

金融機関から聞かれるまで決算書を出さない、あるいは提出する情報が古いままになっている会社は、それだけで印象が悪くなります。

情報開示に消極的な姿勢は、「何か隠しているのでは」という疑念を招きかねません。

見栄えの良さを演出する行為はかえって逆効果

過度な在庫計上や売上の前倒し計上など、決算書を良く見せようとする行為は、かえって信用を失う原因になります。

金融機関は多くの決算書を見ているため、不自然な数字の動きには敏感です。

また、税理士任せで経営者自身が数字を説明できない状態も、大きなマイナス評価につながります。

資金使途と決算内容が矛盾している場合(例えば「運転資金」と言いながら実態は設備投資的な支出だった場合など)も、信頼を損なう典型的な失敗例です。

決算書以外に用意しておくと評価が上がる資料

資金繰り表と事業計画書

実績だけでなく、今後6ヶ月〜1年程度の資金繰り予定を示した〔資金繰り表〕は、返済能力を裏付ける重要な資料です。

あわせて、今後の売上見込みを示す〔事業計画書〕があると、融資後の成長ストーリーが伝わりやすくなります。

借入一覧表と月次試算表

既存の借入がどのような返済状況にあるかを示す〔借入一覧表〕も、金融機関にとって重要な判断材料です。

そして前述の通り、決算から時間が経っている場合は〔月次試算表〕を用意しておくことで、「今の会社の姿」を正確に伝えることができます。

まとめ

  • 融資審査は数字の良し悪しだけでなく「決算書からどう伝わるか」で結果が変わる
  • 金融機関は収益性・安全性に加え〔債務償還年数〕や勘定科目の中身も重視している
  • 経営者自身が数字を説明できるかどうかという「定性面」の評価も大きい
  • 説明資料の添付や月次試算表の提出など、日頃からの見せ方の工夫が評価につながる
  • 決算書だけを税理士任せにせず、金融機関目線で自社の数字を見直すことが大切

自社の決算書の見せ方に不安がある方、金融機関からの評価を上げたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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