効率化もいいけど「中小企業が本当に重視すべき」会計ソフト選定の視点とは?

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会計を社内の事業運営のツールとして役立てるなら税務とは異なる視点で会計を捉え直す必要があります。
その第一歩として自社で会計ソフトを運用してタイムリーな数値管理を目指したいと考えるのは自然の流れです。

最近の会計ソフトの広告を見ると、「AIが自動で仕訳」「スマホで撮るだけで入力完了」といった「入力の効率化」を謳う魅力的なキャッチコピーが並んでいます。
確かに、面倒な入力作業が楽になるのは素晴らしいことです。

でも…

「どれを選べばいいのかわからない……」

このコラムでは、そんな「会計ソフト選定」でつまづいて先に進めない中小企業に向けて「会計ソフト選定の視点」を徹底解説します。

中小企業が会計で真に求めるべきは「アウトプットの充実」

自社で会計ソフトを運用してタイムリーな数値管理を目指すときの目的は何でしょうか?
業務効率の良い運用はもちろん大切ですが、目的を見失ってはいけません。
「経営資料を作ることが目的」ではありません。
それはあくまでも手段です。
自社の経営状態の把握や課題の可視化が目的なはずです。
ですからどうやって自社に適したアウトプットができるかという点に重きを置く必要があるのです。

自社に必要な分析の切り口を明確にする

経営者として知りたいのは、単なる全体の利益だけではないはずです。

「どの部門が利益を上げているのか」
「どのプロジェクトが赤字の原因なのか」
「資金の流れを把握して資金ショートの不安を解消したい」

といった具体的な数字が見えて初めて次の一手を考えることができます。
ただ、数値分析の手法は沢山あります。
作成するのも完成した資料を見るのも手間がかかることを考えると、どのような数値をどのような資料で可視化するのかは厳選する必要があります。
自社の事業運営に直結しない数値を一生懸命見ていても事業成長のスピードは上がりません。
ですから自社が置かれている状況を見極めて、

『現在の会社にとって一体どんな数値が必要か?』

を吟味することに時間を割くべきです。

試算表の先にある管理会計への活用

会計ソフトを単なる税務申告のための道具として終わらせてはいけません。

ボタン一つで最新の推移表や、予算と実績を比較する予実管理表、そして未来の現金を予測する資金繰り予定表が出力できることが理想です。
こうした経営に直結する「管理会計」のアウトプットが、標準機能として充実しているかを確認してください。
日々の数字をリアルタイムで把握し即座に経営判断に活かせる体制を作ることこそが、ソフト導入の真の目的です。

正確性や効率化で重視するのはインプットよりアウトプット

会計ソフトを選ぶ際、「自動で入力できるから」という理由「だけ」で決めてしまうのは非常に危険です。
便利な機能が付いていることに越したことはありませんが、それだけが会計ソフト選定の条件ではないことを肝に銘じておく必要があります。

会計データのエクセル管理の危うさ

多くの企業がエクセルでの数値管理に限界を感じていますが、それは単に作業が大変だからという理由だけではありません。
エクセルには計算式のバグが発生しやすいという致命的なリスクが常に付きまといます。

一箇所のセル参照を間違えるだけで利益の計算が根底から狂い誤った経営判断を下してしまう可能性があります。
また、作成者本人にしかわからない複雑なシートは属人化を招き担当者が退職した瞬間にブラックボックス化してしまいます。

会計ソフトの出力機能の活用の有効性

これに対し会計ソフトは「複式簿記」という世界共通のルールに基づいているため、誰が入力しても一次データの整合性が担保されます。
会計ソフトに装備されている機能を使えば客観性が保証されたデータで経営を支える強固な基盤となります。
また、エクセルで加工する手間からも解放され経理担当者は作業に追われる時間を数値分析へシフトできる可能性が広がります。

インプットよりアウトプットの方が効率化の恩恵が大きい

様々な経営資料をエクセルで管理する場合、作成の作業の手間だけでなく、数字の正しさを担保するための「チェック作業」も大きな負担となっています。
これらをボタン一つで出力できるのは大きな作業効率の向上が見込めます。
是非、経営者の方は、

「1ヶ月のうちにどれだけ資料作りにかかっているか?」

を経理担当者に聞いてみてください。

会計ソフト選びで注意すること

それでは具体的に会計ソフト選定について検討するにあたっての注意点をお伝えしたいと思います。

会計ソフトによって異なる機能

入力補助機能は主な会計ソフトはどれも遜色がない一方で機能は会計ソフトごとに違いがあります。

予算実績管理はできるけど、資金繰り機能はついていない』

部門別管理はできるけど、階層別の管理はできないから、事業部単位と部単位、課単位では見れない』

といった違いが見えてきます。

是非、解像度を上げて吟味しましょう。

あくまでも『当社は何を観測したいのか?』が出発点です。

機能によって異なる利用料金

基本機能だけならA料金だけど、予算実績管理をするならB料金、といった具合に大抵の会計ソフトは使える機能によって料金が異なる料金体系となっています。
コストは会計ソフト選定の重要な要素だと思いますが、その判定には、自社の運用イメージに合致したプランでの料金が重要となってきます。
最初に『自社の運用方法、分析数値の特定』をすることを強調したのは、比較するときの条件を揃えるために必要だからなのです。

具体的な会計ソフトの特徴と比較

主な会計ソフトについて『出力機能』『管理機能』の観点からクラウド型とインストール型に分けて具体的に比較してみましょう。

料金は2026年3月現在の機能・料金に基づいた「目安」とお考えください。
月払いを年払いにする、キャンペーン価格等により安価で購入できるケースやサポート料金が追加でかかる場合もありますので正確な料金をお知りになりたい方は必ず提供会社へお問合せください。

クラウド型の主要5社とその特徴

複数人での運用を前提とする場合には自社サーバーやLAN環境対応基盤の構築が不要なた便利です。
また法改正に伴うバージョンアップなども対応が簡単です。

ソフト名 主な機能 参考料金(目安)
マネーフォワード
クラウド会計
  • 部門別管理(2階層)
  • キャッシュフロー計算書
  • ひとり法人プラン:3,980円/月
  • スモールビジネスプラン:5,980円/月
  • ビジネスプラン:7,980円/月
freee会計
  • 経営ダッシュボード
  • 資金繰りレポート
  • 部門別管理
  • 取引先別管理
  • 品目別管理
  • 予算実績管理
  • スタータープラン:7,280円/月
  • スタンダードプラン:11,980円/月
  • アドバンスプラン:51,980円/月
弥生会計Next
  • 部門別管理
  • 予算実績管理
  • 資金繰り管理
  • 固定資産管理
  • エントリープラン:3,480円/月
  • ベーシックプラン:5,040円/月
  • ベーシックプラスプラン:8,400円/月
ジョブカン会計
  • 部門別管理
  • プロジェクト管理
  • キャッシュフロー計算書
  • 予算実績管理
  • 資金繰り管理
  • スタートアッププラン:2,500円/月
  • ビジネスプラン:5,000円/月
  • エンタープライズプラン:50,000円/月
PCAクラウド
  • 部門別管理(多階層)
  • キャッシュフロー計算書
  • 変動損益計算書
  • 予算実績管理
  • 資金繰り管理
  • 子会社管理
  • PCAクラウド会計:16,200円/月
  • PCAクラウド会計hyper:25,200円/月

インストール型の主要3社とその特徴

ネット環境に左右されず高速な入力操作を求める現場では根強い人気があります。
操作するオペレーターが1人の場合には費用も抑えられるので検討対象となります。

ソフト名 主な機能 参考料金(目安)
弥生会計26
  • 部門別管理
  • 予算実績管理
  • 資金繰り管理(簡易版)
  • 固定資産管理
  • スタンダードプラン:86,700円~/年
  • プロフェッショナルプラン:155,700円~/年
  • プロフェッショナル2ユーザー:192,600円~/年
PCAサブスク会計
  • 部門別管理(多階層)
  • キャッシュフロー計算書
  • 変動損益計算書
  • 予算実績管理
  • 資金繰り管理
  • 子会社管理
  • PCAサブスク会計:4,500円/月
  • PCAサブスク会計hyper:6,000円/月
勘定奉行11
  • 部門別管理(セグメント別管理)
  • 予算実績管理
  • 変動損益計算書
  • 管理会計オプション
  • 非会計情報計算値
  • スタンドアロン:250,000円~
  • NETWORK Edition:1,120,000円~

インストール型は、一度購入すれば数年は使えますが法改正のたびに更新費用が発生する場合が多いです。
数年単位のランニングコストで比較することが重要です。

会計ソフトの比較にはかなり細かい確認が必要

先に示した比較表はあくまでも概略になっています。
実際に購入を決定するには機能と料金がどのように対応しているかを良く吟味する必要があります。

各社の料金体系の確認で注意する点

例えば、『freee会計』や『ジョブカン会計』では最上位のプランが他のプランと比較して極端に高額になっています。
プランの違いがユーザー数だったり機能だったりします。
例えば、ジョブカン会計の最上位プランの「エンタープライズプラン」ではユーザー数の上限が無く、プロジェクト管理などもできますが、他のプランではユーザー数に制限がありプロジェクト管理はできません。
スタートアッププランでは予算実績管理はできませんが、ビジネスプランでは予算実績管理が可能となっています。
このようなことから「自社が何をやりたいのか」を前提にどのプランで可能なのかを特定する必要があります。

クラウド型かインストール(オンプレミス)型か?

インストール型は基本的には1名での運用が基本です。
登録するパソコンを限定する方法を採用しているベンダーが多いので複数で運用するのに不向きです。
またインストール型は買取が基本ですが、弥生会計26は毎年年度更新が必要で実質「年払い」と考えた方が良いです。
また、インストール型ではサポートを受ける場合にはその費用が追加でかかることが多く、その追加プランにも対応内容によってグレードが分かれて複数の料金設定をしている場合もあります。
クラウド型はネット回線を経由しますのでインストール型よりも若干レスポンスが遅く感じるかもしれませんが、極端に遅い回線を使用していなければさほど気になることはないかと思います。
これらを踏まえてクラウド型かインストール型をまず選別するのが良いと思います。

付随する機能の検討

会計資料のアウトプットとは直接関係のない機能が付加されている製品もあります。
業務面での効率アップなどから経費精算などの機能が備わっているかどうかも考慮する場合には標準装備なのか、オプションなのか、他社製品と連携可能なのか、従量課金されるのか、社員数によってコストパフォーマンスはどうなのか、といった要素が加わってきます。
会計周りの付随機能で必須なものの有無も事前に確定した上で比較検討が必要です。

私のおススメ会計ソフト

「各社の状況や要望する機能」によって異なる前提ではありますが、私のおススメは以下のようになります。

前提として数値管理をするなら、会計ソフトで予算実績管理と部門別管理ができることが最低条件だと考えており、それらを安価で提供している製品を優先してチョイスしています。

お勧めのクラウド型会計ソフト

おすすめのクラウド型会計ソフト

  • 弥生会計Next(ベーシックプラン):5,040円/月
  • ジョブカン会計(ビジネスプラン):5,000円/月

機能と価格のバランスが整っているのはこの2つのソフトだと思います。

お勧めのインストール型会計ソフト

おすすめのインストール型会計ソフト

  • PCAサブスク会計:4,500円/月

とにかく安価でほぼフルスペックの機能を備えたPCAサブスク会計はインストール型ならコストパフォーマンスは最強だと思います。
一人経理の会社では選択肢として検討対象となると思います。

候補が決まったら購入に踏み切る前にすること

大抵の製品が1ヶ月程度の『無料利用期間』があります。
まずは実際に使ってみて操作性や出力される帳票の見やすさなどを確認することをお勧めします。
また併せて「サポート体制に難が無いか」といったことも確認すると更に安心です。

既存の会計ソフトをそのまま使いたい場合

「顧問税理士からの指定がある」、「既に慣れてしまったから変えたくない」、などの理由で既存の会計ソフトを変えたくない場合には、月次決算が終わった会計ソフトのデータをインポートして簡単に予算実績管理などができる

外付けシステムの導入

も検討の余地があります。

お勧めの予算管理システム

Manageboardというソフトが便利です。

標準装備の帳票も一覧表とグラフがコンパクトにまとまって見やすいですし、必要に応じてカスタイマイズした資料も作成可能です。
マネーフォワード会計などではAPI連携でスムーズですが、他の会計ソフトでもCSV連携が可能となっています。
マネーフォワード会計は管理面が弱いのでこの外付けソフトで強化することも一つの選択肢になるかもしれません。

外付けソフトの運用で考えておきたいこと

まずは費用が掛かる点は重要な要素だと思います。
Manageboardの場合、初期費用で30万円程度、月額利用料も5万円程度が必要となります。
この金額をどう見るか、という点が1点です。
もう一つの注意点としては、あまり凝った使い方をし過ぎてしまうと、エクセル管理で課題だった『属人化』に繋がります。
カスタマイズはほどほどにしないと結局運用担当者しかわからないブラックボックスがまた一つ増えてしまう、そんな懸念があることも念頭に運用するのが良いかと思います。

会計ソフト導入にあたって

会計ソフト選びは、単なる事務効率化ではなく経営の羅針盤を手に入れる作業です。
入力補助ツールの充実を謳うベンダーは多いですが、実はアウトプットの充実の方が優先度は高いといえます。
自社の管理会計で必要なアウトプットがなんなのかを徹底的に定義してください。
それをできるだけ簡単に出力できる機能が付いているソフトの中からコストパフォーマンスを考慮して選定すれば間違いありません。
一歩先を行く経営管理を目指して、今日から理想のレポート作りを始めてみましょう。
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