連鎖が怖い『経理担当者の慢性的な退職』の対処法

「また経理の求人始めたのか?」

経理担当者の退職・採用・引継ぎ・退職の負のループにお嘆きの経営者の方はいませんか?

「いい人が来ないなぁ」

と採用活動に疑問を持つ前に見直してみませんか、経理担当者の業務環境

退職がきっかけで退職が連発する理由

「担当者の老齢化」「家族の状況」「家計の変化」「会社への不満」

経理の退職のきっかけは様々だと思います。

後任が無事に採用され、引継ぎもなされ、従前どおりに業務が回るようになればひと段落です。

でも、退職をきっかけに経理担当者が定着されず困っている会社があることも事実です。

何故そんなことになるのでしょうか?

ブラックボックス化した経理業務

中小企業では一人で経理を回すいわゆる『ひとり経理』は珍しくありません。

経理業務はうまく回っているものの周りの人には「どうやって回しているのか」「資料はどんなふうに保存されているのか」が可視化されていないブラックボックス状態になっています。

世の中で『属人化の排除』が叫ばれていても、そのベテラン経理担当者がいればうまく回っていて特に困らないことから放置されている、といったところが実情だと思います。

『引継ぎの無い』後任者にとっての地獄

後任者にとって、「何をどうしていいかわからない」状態は精神的に厳しい状況かと思います。

「経理なんてどこでもやること同じでしょ?」

と言わんばかりの圧力で押しつぶされそうになる後任経理担当者も多いかと思います。

採用時の面接で「任せて下さい!」と言った手前、簡単に弱音も吐けず、キャパを超えたときにはもう修復できない状態で「退職願」が提出される、そんな図式の出来上がりです。

サポートのない経理担当者の孤独は深刻

引継ぎが充分でなくても周りのサポート、特に上司がサポートしてくれたり守ってくれれば、厳しいながらも続けていくことができるかもしれません。

でも、上司が経理に詳しくなくて経理担当者に「お任せ」でサポートが受けられないケースがとても多いです。

自身も経理のことがわからず口を出したくても出せない、といった場合には、結果として新任の経理担当者を頼りにするしかなくて経理担当者の孤独を深めてしまうことがあるんです。

落ち込む女子社員

一度ハマると抜け出せない負のスパイラル

このような理由で後任が辞めてしまうと、せっかく新しい後任を採用しても同じような状況が繰り返されることで負のスパイラルに陥りがちです。

ピンチヒッターを立てた時の弊害

こうなってしまうと、常に新任経理担当者の欠員期間が生じてしまいます。

その間は、本来業務をやりながら兼務で経理のピンチヒッター役が必要になります。

そして、ピンチヒッターとなった経理以外の担当者にもその影響が及び始めて他の業務の歯車も狂い始めてしまいます。

経理だけに留まらない負の連鎖

経理以外の業務への支障が出たり、最悪の場合、経理以外の職種にも退職の連鎖が始まることも懸念されます。

こうならないためには退職の悪影響に対して早急に対処することが求められます。

負の連鎖を断ち切ることが急務

こうなってしまったら、どんなに後任採用がうまくいっても長続きすることが難しくなってきます。

入社後に「前任者が立て続けに退職している会社」ということを知れば、それだけでも後任者の不安を助長してしまう可能性もあります。

ですから、採用に力を入れるよりは、『後任がすぐに辞めない体制をどう再構築するか』を真剣に考えた方が良いでしょう。

後任の退職と真剣に向き合う

短期間で同じ部署の後任が退職してしまう事態に見舞われたら、その原因をきちんと解明して対策を実行することが何より大切です。

「家庭の事情で」といった退職者が申し出る退職理由を鵜呑みにしてはいけません。

かといって上司に尋ねても「自分に原因があります」とは、なかなか素直に申し出てくれるとも限りません。

良く業務環境を調べる必要があります。

慎重な配慮をしながら周囲の信頼できそうな社員へのヒアリングをするなどして良く状況を把握することに努めるべきでしょう。

女子社員との面談

原因がわかったら早急な対処を優先する

後任者の採用よりも優先して原因の排除を優先して取り組むべきでしょう。

この時に「誰かを悪者に」しても問題は更に悪化するかもしれませんので、グッとこらえて問題の解決を最優先にする方が良いでしょう。

退職してしまった後の緊急対応

では、具体的などのようにしてこのような状況を断ち切れば良いでしょうか?

すでに担当者が辞めてしまって引継ぎ内容をまとめるなどができない状態では急ぎ対応を実行していく必要があります。

SOSをキャッチできる体制

不安を抱えたまま業務を続けなければならない環境を改善することが大切です。

仮に経理に詳しくない上司であったとしても不安を受け止めることはできると思います。

「任せているから口出しもしない」

ではなく、SOSを出しやすいように声掛けを頻繁するなど、できることから着手するようにします。

依頼すれば、すぐにできる上司や周りの環境であれば良いですが、

「言ったところで変わらない」

と懸念があるなら、社長がその役目を引き受けることも考えなくてはなりません。

業務を最大限可視化する

きちんとした引継ぎ書やマニュアル類があれば良いですが、「何もない」とか、「あるにはあるが、雑過ぎて使い物にならない」といったケースも良くあります。

そんな時は少しでも引継ぎをスムーズにするために情報の断片を集める作業をしなければなりません。

誰がいつまでにどのような方法でやるかをきちんと決めて、ピース集めと集めたピースの整理を実行する体制を整えます。

パズルのピースをつまむ

物理的な引継ぎ準備

情報が揃ったら必ず『引継ぎ書』のような物理的に『形ある情報』へ落とし込みをします。

面倒な作業ではありますが、AIを活用するなどして「情報が不足している前提の」引継ぎ書を完成させます。

後任採用時の注意点

さて、最低限の準備ができたら後任の採用に着手することになります。

その時の注意点をまとめてみました。

面接風景

嘘で飾らない

状況をきちんと伝えて『状況に見合った人材』の確保を考えます。

できるだけ候補者が逃げていかないように、ネガティブ情報を出したくない気持ちはわかりますが、「聞いてた話と違う」と、採用後に逃げられてしまう方が傷は深いです。

ですから、「既に前任者が退職済なので自力で業務を遂行することを期待している」ことを事前に伝えるべきでしょう。

大抵の応募者はそれを嫌うとは思いますが、退職の連鎖を断ち切るには『それに見合った人材を確保』しないと厳しいです。

不安を少しでも軽減するための情報を添える

不安を少しでも和らげるために、『引継ぎ書がある』『担当者への声掛け励行で責任を丸抱えする必要はない』といった安心材料を一緒に提示するようにします。

間違っても「過去の人もそうやってきたから大丈夫」といった、根性論前提のような「慰め」ではなく、「具体的に何をしてくれるのか」が分かるような伝え方が大切です。

人材の見極め

メンタルが強そうな人である方が良いかもしれませんが、一番効果的なのは『経験値』だと思います。

過去に同様の経験をしていて、『そのような状況を突破したことある人』は、不十分な引継ぎで後任を任せられることに不安を感じにくいと思います。

メンタルが強い人よりもメンタルに影響が出にくい程度のに経験値がある人の方が定着率の向上に期待が持てます。

予防策を検討しておく

緊急避難的な対処がひと段落して後任の業務が安定してきたら、同じ轍を踏まないように対策を打っておくと良いと思います。

決して『喉元過ぎれば熱さを忘れる』にしない方が良いでしょう。

新しい後任が定着したとしても急な退職のリスクが無くなるわけではありませんから。

まずは資料の保存先

資料の保存先について部門内で一定のルールを定着することは危機管理上も大切なうえに、業務効率向上という日常的なメリットもあります。

全社統一ルールが望ましいですが、少なくとも部門単位での共通ルールで資料が保存される仕組みを作りましょう。

電子データなら、

  • フォルダ階層のルール化
  • ファイル名称のルール化
  • 個人的なフォルダの利用禁止

などを決めると良いでしょう。

紙の資料のファイリングなら、

  • 使うファイルの種類を統一する
  • 背表紙の統一フォーマット
  • 保存棚の場所のルール化

などを考えてみましょう。

本棚に並ぶ沢山のファイル

マニュアルは最小限の手間で優先順位を考慮して作成

マニュアルは普段はあまり使わないため内容の陳腐化を防ぐための更新作業が「使う当てもないのに手間がかかる作業」になりがちで作業者のモチベーションが上がらない業務筆頭です。

一方、『マニュアルが無い』と思い込んでいても実は担当者は何かしら作業手順をメモしていたりします。

本人は「これはマニュアルじゃなくて自分用です」と言うかもしれませんが、こういった資料は貴重な資料になります。

ノートのメモならスマホで写真にとって『マニュアルフォルダに突っ込んでおくだけ』でも後で重要な手がかりになるかもしれません。

またAIが発達した昨今では、以下のようなフローで簡単にマニュアルっぽいものを作ることもできるでしょう。

1
画像データ

文字起こし

2
文字データ

AIでマニュアルへ変換

3
業務マニュアル

引継ぎを考慮した退職対応

退職者の申し出に対して気前よくあっさりと退職させてしまう経営者も多いかもしれません。

既にやる気のなくなってしまった社員を引き留めるのは気が進まないこともあるでしょう。

でも引継ぎを考慮したら少しでも退職準備の時間を確保する「悪あがき」をするべきだと思います。

後任を採用して重複期間を充分に取ることは難しいですし、重複期間を取れないことも珍しくありません。

それでも、できるだけ退職時期を後ろ倒しにしたり、有給休暇の買取を提案するなどしましょう。

少しでも『退職からピンチヒッターへの引継ぎ』『ピンチヒッターから後任者への引継ぎ』がしやすいように退職者に協力要請をして退職時までの限られたリソースを有効活用することです。

※本人が有給休暇を希望した場合には付与をすることが必要なので強制しないことが大切です
※逆に買取を本人から申し出を受けても会社に買い取ることが義務付けられているわけではありません

でも一番の対策は

当たり前と言えば当たり前ですが、一番大切なのは社員が辞めたくならない組織運営でしょう。

会社に嫌気が差してする退職だけでなく、個人的な理由だったとしても「多少無理しても残りたい」と思ってもらえるかどうかのボーダーラインは変わってくるかもしれません。

外部の力を借りる選択肢

ここまで社内リソースで「なんとか回して対処する」方法をお伝えしてきましたが、外部リソースを有効活用して社内のダメージを吸収することも考えたいものです。

何と言っても税理士事務所

経理業務と密接にかかわっている税理士事務所を味方にすることが最も現実的かと思います。

記帳代行から支払代行、請求書発行など代行業務まで幅広くカバーしている事務所であれば一旦業務を外注化してしまうのが手っ取り早く安心です。

仮にそういったサービスを提供していない事務所であったとしても『緊急事態だからサポートして欲しい』旨を伝えて協力を仰いでみるべきです。

また信頼できる代行業者を紹介してもらう、といった二次的な協力要請もあるかもしれませ。

代行業者への依頼

経理代行、記帳代行といった、経理業務をアウトソーシングできる会社への依頼も考えてみましょう。

できるだけ経理業務を網羅的に任せたいなら、そのような業態のサービスを提供している会社を探して打診してみましょう。

一次的な費用がかかっても

これらの外部リソースを利用すると、コストがそれなりかかってしまいます。

その点で二の足を踏む経営者の方もいらっしゃるかもしれませんが、負のスパイラルに突入した時の有形無形のコストを考えたら『お買い得』かもしれません。

会計レスキューでは緊急経理代行として、急な退職のピンチヒッター、後任の採用、後任者へのスムーズな引継ぎや人材育成をトータルでサポートしています。

もしご興味にある方はお気軽に無料相談をしてください。

タイトルとURLをコピーしました