貸借対照表(BS)は会計の三大財務諸表のひとつですが、「何に使えばいいのか?」と聞かれると、多くの中小企業の経営者・経理担当者が言葉に詰まります。数字が並んでいるだけに見えて、意思決定にどう結びつくのかが分かりにくいからです。
しかし実務では、BSは会社の安全性・成長性・資金繰りを読み解くための“経営判断の地図”になります。私自身、税理士試験の財務諸表論で「BSは2期の損益計算書をつなぐ役割」と「財産価値を表すもの」という2つの側面を学んでから、その重要性を強く意識するようになりました。この記事では、初心者でも理解しやすいように、貸借対照表の本質的な使い道に絞って解説します。
貸借対照表の基本的な役割
貸借対照表の中でも、中小企業の経営に直結する“本質的な使い道”に絞って解説します。
貸借対照表が示すのは、会社の「財産の状態」と「資金の調達と運用の姿」です。損益計算書(PL)が1期間の成績表であるのに対し、BSは期末時点の財産価値を示すため、会社の安全性を評価するうえで欠かせません。実務では、現預金・借入金・売掛金・在庫・固定資産など、限られた科目に絞って見るだけでも会社の状態は大きく把握できます。特に中小企業では、資金繰りに影響する科目を優先的にチェックするだけで、経営上のリスクを事前に察知できます。
解決のポイント
貸借対照表の見方が難しい理由は「見るべきポイントが多すぎる」と感じてしまう点にあります。そこで、中小企業経営で優先順位の高い使い道に絞ると理解が一気に進みます。
理由・根拠
中小企業にとってBSが重要なのは、会社の“安全性”と“資金の余力”がすべてここに現れるからです。実務では、現預金・借入金・運転資金(売掛金+在庫−買掛金)といった項目を見ることで、資金の余裕度が瞬時にわかります。また、税理士試験の財務諸表論でも学んだとおり、BSは「2期の損益計算書をつなぐ役割」を持ち、期中の利益がどのように資産・負債へ流れたのかを把握するための重要な資料でもあります。利益が出ているのに資金が減る理由(いわゆる黒字倒産リスク)も、BSを見ないと気づけません。
こうした背景から、PLよりも先にBSをチェックすることで、経営上の危険信号や改善ポイントを早期に把握できるようになります。
具体例・体験談
私が企業の経理に携わっていた頃、PLだけでは判断できないケースに何度も直面しました。たとえば、売上が順調に伸びているのに資金繰りが苦しくなった会社では、BSを確認すると「売掛金と在庫が急増して運転資金が膨らんでいた」ことが原因でした。また、別の企業では「借入金返済が重く、現金残高が固定資産に比べて極端に少ない」状態が続いており、見た目の利益よりも資金繰りリスクが高いことが分かりました。
こうした経験から、BSを見ることで経営上の重大な問題に早めに気づけると痛感しています。初心者でも、数科目だけチェックする習慣を持つだけで、意思決定の質は確実に向上します。
まとめ
貸借対照表は、会社の財産状態・安全性・資金の余力を判断するための、経営に不可欠な道具です。特に中小企業では「見るべき科目」に絞れば十分活用できます。PLだけに頼らず、BSを日常的にチェックすることで、経営判断の精度が大きく向上します。
